土用の丑と鰻(うなぎ)の話

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鰻(ウナギ)

師走の忙しいさなか、大阪の住吉大社へのお参りの後に、
創業60年にもなるという「いづもや」で、
うな重を食べてきました。

ん?この時期に鰻?
って思う方も多いかもしれませんが、
実は鰻は初夏に旬を迎える食べ物ではありません

私たち日本人にとっては
昔から馴染み深い鰻ですが、

学校で鰻のことを
教えてくれることはありませんから、
意外と鰻については知らないことが
多いのではないでしょうか。

鰻って、私たちが思ってる以上に
歴史のある食材で、

5000年前の縄文時代の貝塚から、
タイやスズキにアジといったお馴染みの魚とともに、
ウナギの骨が見つかっているんだそうです。

今では、養殖や加工技術の発達で
一年中鰻を食べることが
出来るようになりましたが、

資料によれば、世界の鰻の半分を
日本人が食べているというのですから、
我々の鰻好きもたいしたもんだと思います。

今回はそんな鰻の雑学を
たっぷりと紹介したいと思います。



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土用の丑とうなぎの話

鰻といえば、先ず頭に浮かぶのは
「土用の丑の鰻の蒲焼き」
ではないでしょうか。

7月の丑の日に栄養たっぷりの鰻を食べて、
食欲の落ちるこの暑い時期を
乗り越えようとする、江戸の時代から続く習慣です。

土用の丑の始まりは、江戸時代の蘭学者であり、
発明王とも呼ばれた平賀源内が、鰻屋の主人に

「この鰻が売れない時期に売上をアップしたい」

と相談されて「本日丑の日」
という張り紙を貼って、店を繁盛店へと導いたといいます。

これは他の鰻屋も知ることとなり、
土用の丑の日は鰻を食べる日
というのが広がっていったといいます。

正直、平賀源内という話には無理を感じますが、
鰻の調理法が確立していったのは
江戸時代の頃という話は間違いないんだなということが判ります。

うなぎの旬

うな重

なぜ夏場に売れない鰻を
売る仕掛けを作る必要があったというと、

本来の旬を外したものだった
ということに他ならず、
夏の時期に鰻を売りたいというのが本音です。

実は鰻の本来の旬は、
寒さを乗り切るために脂を蓄えて
太った秋から初冬にかけてなのです。

土用と言うのは日本独特の
雑節、二十四節気・五節句などの
暦日のほかに、季節の移り変りを表す暦ですね。

節分や彼岸などは、誰もが
耳にしたことがあるのではないでしょうか。

実際には土用の丑の日は
四季にわたって年に4回あります。

立春、立夏、立秋、立冬の前の
18日間を土用と呼ぶのです。

夏の土用の丑に
鰻を食べる風習が広がったために、
土用の丑といえば夏という風に
思う人が多くなってしまったのだと思います。

そもそも今の時代は、
古い暦など誰も教えてくれませんから、
仕方のないことだと思います。

豆まきで知らない人の居ないであろう、
節分だって、年に4回ありますからね。

話は少しずれましたが、
旬を外した鰻が美味しくないかといえば
そんなことは無いのは皆さんもご存知の通りでしょう。

むしろ、夏場の食欲が落ちる時期に食べる鰻は
スタミナを付けるという意味では
理想的な食事の一つじゃないかとも思います。

そうでなければ、これほどまでに
「土用の丑の鰻」として
こんなにも親しまれる食材にはならないと思うのです。

関東と関西のうなぎの料理方法の違い

さて、これだけ日本人の食として
親しまれてきた、ご馳走の鰻ですが、
実は関西と関東では料理の仕方が違います。

鰻といえば代表的な料理に
「蒲焼き」があると思いますが、
蒲焼きにする際の捌き方が違います。

関西では腹を割いて開き、
関東では背中を割く
という違いがあります。

洒落の上手い芸人などが
いい出したんじゃないかと思うのですが、

「江戸では切腹を嫌ったから背開き、
大阪は腹を割って話すから腹割き」

みたいな逸話もあります。

また蒲焼きにする際も、
関東は素焼きの後で蒸す
という工程が入るのに対して、

関西では蒸しはなく、
地焼といって
そのまま焼き上げる蒲焼きです。

この料理方法の違いですが、
鰻の産地として名高い浜名湖あたりで別れているそうです。

うなぎをなぜマムシという?

鰻まむし いづもや

画像の暖簾は前途の住吉大社前の
いづもやさんの、60年の歴史のある暖簾です。

まむしの文字が見えますね。

鰻の捌き方、料理の方法だけではなく、
関西では、さらに鰻をマムシとも呼びます。

古くからある店ほど
マムシ率が高い様な気はしますね。

マムシといえば、
あの毒ヘビのマムシを思い浮かべますが、
どうやらそれは違うというのが定説で

「まむし」は、うなぎを蒸して油を抜く
という関東の調理法を見て「真蒸す」、

蒲焼きを切ってご飯に「まぶす」、

鰻飯(まんめし)が『まむし』と訛った、

ご飯の上に乗せた上に
更に飯を乗せて蒸らす「飯蒸し」(ままむし)

など幾つかの諸説があるようです。

鰻ってヘビに似てなくもないので、
関西人らしい洒落で、
「まむし」という説も
なきにしもあらずだと個人的には思うのですが。

うなぎの栄養

鰻はとにかく栄養価が高くて
中でもビタミン類が豊富
に含まれています。

ビタミンA、ビタミンB1、
ビタミンB2、ビタミンE、
ビタミンB6、ビタミンB12、

中でも目に欠かせないビタミンAは、
ビタミンAを含む食品のなかでもトップクラス。

蒲焼き半分で成人男性の
一日の摂取量
を超えるのです。

ビタミンB1は食欲増進、不足すると
脚気、脳貧血、立ち眩み症状がでます。

ビタミンB2は発育に欠かせない栄養素です。

ビタミンEは細胞の老化を防ぎ
肌艶が良くなるなどの美容効果が期待できます。

ビタミンB6は不足すると皮膚炎や貧血
ビタミンB12は神経疾患や糖尿病の治療薬に使われます。

そして、鰻も魚の一種なので、
血管や脳の発達成長に欠かせない
DHA・EPAを多くふくみます。

DHA・EPAといえば、
青魚を思い浮かべると思いますが、
アジやサケよりも多く、
青魚の代表魚、サンマと同じぐらいDHA・EPAを含むのです。

その他、胃の粘膜を保護し、
カルシウムやタンパク質の吸収を助けるムチン、

その他、カリウム、カルシウム、亜鉛、
ナイアシン、葉酸、パンテトン酸
などのミネラル群が含まれます。

カルシウムを含む鰻に
カルシウムの吸収を助けるムチンが入っている
というのも、鰻が栄養価の高い
スーパーフードだということですね。

うなぎを捌く道具

うなぎ裂き

画像は、鰻の銘店が沢山ある、
高知県の刃物屋で手に入れた、
鰻裂き包丁と、ぬめりのある鰻を
まな板に固定する目打ちと呼ばれる道具です。

高知の刃物は400年にも及ぶ歴史があり、
農業や山林用の打刃物から包丁まで
あらゆる刃物が揃う刃物の街です。

鰻を捌く包丁も例外ではなく、
同じ鰻を捌くために作られた包丁でも
その調理法によって、全国各地に
様々な形の鰻専用の包丁があるのです。

こんな風に包丁一つ見ても、鰻が昔から
全国各地で食べられてきたとことが伺えます。

うなぎの食べ合わせ

食べ合わせ、食い合せという
言葉があるのをご存知ですか?

一緒に食べると組み合わせが悪く
体調が悪くなる、とされる言い伝えで、

「トマトときゅうり」とか「大根とニンジン」、
「カニと柿」、「天ぷらとスイカ」

など、色んな食べ合わせの悪い食材というものがあります。

鰻と食べ合わせの悪いものは梅干しです。

実はこれ、科学的な根拠はまったくないそうで、
食べ合わせが悪いどころか、
鰻に多く含まれるビタミンB1と
梅干しに含まれるクエン酸は疲労回復に効果大なのです。

梅干しの酸味は胃酸の分泌を促し、
消化を助けてくれるということ。

だったら、なぜこの食べ合わせが悪いといわれるのか?

というと、あくまでも想像ですが、
梅干しでさっぱりして、ご馳走である鰻を
食べすぎない様に、

みたいな戒めだったのかもしれませんね。

プロ直伝の自宅でのうなぎの温め方

電子レンジでチンしたり、
真空パックのものを湯煎したり
というのが、一般的な自宅での
鰻の温め方ですが、

それだとせっかくの
鰻の風味が損なわれてしまいます。

スーパーで売っている鰻などは思い切ってまずは
ぬるま湯で余計なタレを流します。

そして、直ぐにキッチンペーパーで
水気を拭き取って、脂を薄く引いたアルミホイルに包み、
お酒を少し振ってグリルで3分程焼きます。

びっくりする程ふわっとした鰻になるのです。

また、真空パックの鰻はぬるま湯で少し温めてから
グリルでもう一度タレを付けながら焼くと
香ばしい蒲焼きを食べることが出来るのです。

鰻弁当も同じようにすると美味しくなるので
是非お試しください。

うなぎの釣り方

あまり聞いたことが無いかもしれませんが、
鰻は釣りの対象としても面白く、
釣って楽しく食べて美味しいという
両得が狙える面白い釣りです。

行けば必ず釣れる
ということはありませんが
大きな川の河口など、何処にでも居るので
挑戦してみてはいかがでしょうか?

水温が下がるをあまり餌を食べなくなるので
狙って釣れるのは春~秋にかけて。

道具も選びませんし
餌にゴカイや太いミミズなどをつけて
仕掛けを放り込んで後は待つだけの
実に簡単な釣りです。

日没から1~2時間が狙い目で
あとはただ待つだけの釣りです。

最も重要なのは、実績のあるポイントですね。

 


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釣りをする人なら結構知っているので
周りの釣り好きの人に
尋ねて見ると良いと思います。

天然うなぎと養殖うなぎ

天然ウナギと養殖ウナギ
という言葉を耳にしたことがあるかと思います。

現在は天然鰻は本当に捕れなくなってしまい、
スーパーなどで買うことの出来る物は
ほぼ間違いなく養殖のものです。

養殖技術の発展のお陰で
こうして一年中鰻を
いただくことが出来る訳ですが、

鰻屋に行っても、
天然物の鰻を食べさせる店など本当に稀で、
あっても、とんでも無いお値段がします。

天然ウナギは市場には3%ほどしか
流通しない高級食材となってしまいました。

「天然ウナギはさぞかし美味しいんだろうな」

そんな話を聞いて思うことはこんな感じでしょう。

ところが、そうとばかりは言えないのが
自然の中で育つ天然ものの難しさです。

育った環境の水質や餌などによって
味は全く違うものになるのが天然ウナギなのです。

前項で、鰻の旬は土用の丑の頃じゃない、
という話をしましたが、養殖ウナギは
一年中安定した味の鰻が作られるのです。

例えば、養殖ウナギの味の点数を
60~70点だとすると

天然ウナギには0点から
100点の鰻
が本当に存在します。

何を食べて大きくなったか?
というのは、とりわけ大事で、

随分前の話ですが、小さな鰻を
釣り上げたことがありました。

持って帰って水槽に入れて
育てたことががあるのです。

鰻って、何ても食べる悪食なので
固形の亀の餌を与えて大きく育てたのです。

一年後には、丸々と大きくなって
さて、食べようとBBQの傍らで蒲焼きにしたのですが

その味は、亀の餌の匂いがきつく、
食べられたものではありませんでした。

知人の話では、釣り上げた鰻が
洗剤の匂い、ヘドロの匂い、
そんなことも実際に耳にしました。

こんな感じで、なんでもかんでも
天然物がすべて美味しいわけじゃないと言う話です。

とは言え、四国の四万十川や仁淀川などで捕れた
秋の鰻の美味しさといえば、
スーパーや街中の鰻屋のものと比べると

本当に同じ鰻なのか?

と思ってしまうぐらいのものです、
機会があれば是非にとおすすめしておきます。

うなぎ屋のメニュー

鰻といえば蒲焼きが
一番に挙げられると思いますが、
最後に私の好きな幾つかの鰻料理を紹介しておきます。

うなぎの蒲焼き

いづもや うな重

住吉大社前のいづもやさんの鰻丼です。

一言で鰻丼といっても、
店によって食べさせ方は色々で、
各店が色んな蒲焼き、
鰻丼をたのしませてくれます。

鰻の専門店に行くと、
だいたい何処の店でも、
ご飯の量ではなく、
鰻の量でお値段が違ってくる店が多いです。

ひつまぶし

ひつまぶし

蒲焼きを細切りにして
おひつなどを入れたご飯にまぶし、
椀に取り分けて食べるのがひつまぶ
しです。

一杯目はそのまま、
二杯目はお茶漬けにしたりして食べます。

今は各地で食べることが出来ますが、
名古屋や三重県の津あたりが発祥だといわれ、
銘店と呼ばれるお店が多く揃っています。

ひつまぶしというのは、
おひつに入ったご飯に
鰻をまぶしたからひつまぶし、

関西でいう「おひつに入ったまむし」
が鈍ったという説がある様ですね。

うな肝と肝吸い

うな肝

画像が鰻の肝を串に刺して焼いたもの、
ウナ肝です。

また肝の吸い物が肝吸い

ウナ肝、肝吸いとは言っても、
肝だけではなく、鰻の内蔵が使われます。

丁寧に下ごしらえされた
ウナ肝、肝吸いはたまらなく美味しいものです。

三つ葉などを散らしたすまし汁の肝吸いは
鰻丼とのセットでいただきます。

うまき

うまき

鰻丼のサイドメニューとして良く注文する、
鰻の蒲焼きを巻いただし巻きです。

居酒屋などでも、このうまきを
肴として提供するお店もありますね。

店によって、出汁の違い、鰻の量の違い、
餡をかけていたり色んなうまきがあります。

うなぎの握り

鰻の握り

香ばしく焼いた鰻の握り

東京では鰻よりも
羽田沖のアナゴが握られますが、
関西では定番ネタです。

握りではありませんが、鮨といえば
鰻ときゅうりを海苔で巻いた鰻きゅうも絶品ですね。

うざく

うざく

鰻ときゅうりの酢の物がうざく

お酢の酸っぱさと鰻の組み合わせが
こんなにも合うのか?と言うほど、
夏に美味しいメニューです。

うなぎパイ

うなぎの産地として名高い、
浜松の浜名湖の銘菓として有名な、
うなぎパイはご存知でしょうか?

うなぎパイ

うなぎパイは春華堂だけが作るお菓子で、
昭和36年の誕生から現在に至るまで、
職人が手作りで焼き続けているというこだわり。

うなぎパイの名前の通り、
うなぎのエキスをパイ生地に
練り込んで焼いた洋菓子です。

浜松界隈のおみやげの定番中の定番、
今では全国の人気お土産ランキングでは
常に上位にランクイン
するそうです。

実際にうなぎのエキスが入っているとはいえ、
全くうなぎの味はしないという不思議ですが、

さくっとした歯ごたえに上品な甘さは
名物にふさわしい味わいで、
私も大好物の一つです。

機会があれば、浜松にある
春華堂が運営するうなぎパイファクトリーは、
おススメです。

見どころたっぷりの施設で
大人も子供も一緒に「楽しむ」
ことが出来る施設です。

また、東名高速道路の
浜名湖サービスエリアに立ち寄ってみれば、
名物のうなぎメニューが沢山あるのはもちろん、

春華堂のゆるキャラの「うなくん」が
うなぎパイを販売しています。

サービスエリアといえば
「高くてまずい」というイメージが
強かったものですが、
近ごろのSAの充実ぶりは凄いと思います。

大阪の老舗のうなぎ専門店 魚伊 関目高殿の本店

魚伊

大阪で鰻の専門店と言えば、
「魚伊」をあげる鰻好きは多いと思います。

本店は旭区の高殿、
住宅街の中にポツリとあるお店です。

日本一長い商店街として有名な
天神橋筋商店街の「天五店」が二号店、

阪急うめだ本店、
阪神百貨店梅田本店、
高島屋大阪店、
大丸百貨店博多店、

お持ち帰り専門のデパ地下でも、
魚伊の鰻を楽しむことが出来ます。

さて、その魚伊さん、慶応三年の創業。

慶応三年といえば、
大政奉還がなされた江戸時代末期の話、
百数十年にもなるという話は凄いですね。

うなぎ専門店ならではのメニュー

魚伊

ありとあらゆる鰻メニューがあるのは、
やはり専門店ならではです。

中でもやっぱり、鰻と言えば蒲焼き。

「関西地焼炭火焼き」

というのが魚伊の蒲焼きで、
腹裂きの蒸し工程なしの鰻を、
一尾一尾開いて備長炭で焼いた鰻です。

ありきたりな言葉しか思い浮かびませんが、

「皮は香ばしくかりっと、身はふんわり」

職人さんのこだわりの鰻が満喫出来ます。

当然ですが、鰻そのものへの
こだわりは相当なものです。

日本全国、各地から良質の安全な鰻、
その季節に一番美味しく育った鰻を取り寄せ、
提供しているとのこと。

これもまた職人さんの目利きによる熟練技、
厳しい基準をパスした鰻だけを
いただくことが出来るのです。

その分、ちょっとお値段は高い目ですが、
昨今の鰻事情を考えると、いたしかたない話。

何時足を運んでも、魚伊の鰻には
がっかりさせられた記憶はありません。

この日にいただいたのは、
「魚伊弁当」 2650円也。

魚伊弁当の中身は、

「うな重に、きも吸い、
お造り盛り合わせに小鮎の佃煮、
隣町の地野菜、守口大根の奈良漬」

食べごたえのある鰻弁当です。

魚伊本店への地図

大阪市営値地下鉄の
関目高殿駅から徒歩10分程です。

車でのアクセスの際には、
ちょっと分かりづらいですが、

魚伊本店のの駐車場が、
お店の周りに幾つか用意されています。

判らない場合はお店で確認すると、
丁寧に教えて貰えます。

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